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糖尿病のお薬を服用中のかたへ

【糖尿病のお薬を服用中のかたへ】
みなさんこんにちは、中里デンタルクリニック.歯科衛生士の北田です。皆様いかがお過ごしでしょうか?寒い日が続いていますので、体調にはお気をつけてくださいね。
今回は、糖尿病のお薬と歯科治療の関わりについてお話していきます。みなさま、糖尿病という病気はどういうものかご存知でしょうか?糖尿病は「血の中に糖が増えすぎる」病気です。血液中の糖(ブドウ糖)は、通常すい臓から分泌されるインスリンというホルモンが分解してくれるのですが、糖尿病はこれがうまくいかなくなってしまうのです。
 生まれつきインスリンの分泌量が少ない場合は1型糖尿病。インスリンは正常に分泌されているものの、その作用が十分に発揮されにくくなっている場合は2型糖尿病です。
 糖尿病のお薬には血糖を低下させる作用があります。インスリン注射と飲み薬があり、先天的にインスリンがつくられない1型糖尿病のかたは、体の外から常にインスリンを補給する必要があるため、インスリン注射をします。
 インスリンは出るものの、それがうまく働かなくなっている2型糖尿病の方の場合、おおもとの原因が生活習慣にあります。そのため、まずは食事制限や運動が治療の第一選択肢となります。それでも改善されない時は、血糖降下薬を服用したりインスリンを注射します。
 歯科治療との関わりとして、外科治療後に感染や炎症を起こしやすくなります。糖尿病は「血管の障害」で、血流が悪くなり、栄養や免疫細胞が届きにくくなるために、感染への抵抗力が弱まり傷の治りが悪くなります。そのため、細菌感染を起こしやすくなり、炎症もひどくなりがちです。
 歯の根にできた病変から顎の骨に炎症が広がって顎骨炎となったり、インプラント周囲炎から首周りに炎症が広がることもあります。抜歯の後やインプラントを入れた後も傷が開きやすく、感染を起こしやすいです。
 そのほかに糖尿病の方は、通常の血糖値が高いだけでなく、血糖値の乱高下「低血糖性昏睡」はも起こりやすくなります。血糖値は空腹時でおよそ100が正常です。糖尿病の方は200近くに上がる一方で、歯科治療中に、時間と共に50以下に落ち込むこともあります。血糖の低下は中枢神経系に作用し、思考力が低下し、さらに自律神経系も働かなくなると意識を失います。
 この「低血糖性昏睡」は非常に危険な状態で、治療中に意識を失ってそのまま…ということすらあり得ます。この状態を事前に防ぐために、みなさんへお願いが3点程あります。
 1つ目は病状や主治医を教えてください。糖尿病の方の外科治療は、医科の主治医と連携をとりつつ進めます。もし状態が良くないのであれば、先に医科で血糖のコントロールをしていただく場合があります。歯科治療の際は、万一血糖の以上低下が起きそうになったときのために、ブドウ糖のタブレットなど備えている医院が多いです。
 2つ目は食事は抜かずにご来院ください。「手術中に気分が悪くなると嫌だから」と、食事をしないで来られる患者さんもいます。ですが、糖尿病の方の場合、血糖の異常低下が起きるリスクとなりますので、食事は抜かないようお願いします。
 3つ目は問診には正確にお答えください。自覚症状のないことが多く、予備軍のかたも少なくない糖尿病。「喉がすごく渇く」「夜中に何度もトイレに行く」というのは要注意のサインです。問診票にある既往歴、現病歴に関する質問や、スタッフからの質問には正確にお答えください。