トピックス TOPICS

歯の根の治療について

【歯の根の治療について】こんにちは!中里デンタルクリニック.八幡です。

むし歯が歯の内部の神経(歯髄)にまで広がってしまい、ふつうなら抜くしかない・・・そんなときに、歯を残せる可能性を少しでも高めるのが「歯の根の治療」です。

歯の根の内部には、神経や血管の通り道である「根管」があります。

ダメになった神経を取り除く際にこのなかを掃除するので、歯の根の治療は「根管治療」とも呼ばれます。

でも根管って、みなさんが思う以上に複雑な形をしているんです。根の形状に沿ってスラッと根管が通っているように見えます。でも実際は、こんなにきれいな形ではありません(もしこれほどシンプルなら、私たち歯科医師の仕事はどれだけ楽なことか!)。

そもそも根がまっすぐでない歯も多いですし、そのなかの根管も根の形に沿って通っているわけではないのです。1本の根管が枝分かれしたり、それが合流してまた別れたり、湾曲したり行き止まりになったりなど、迷路のように入り組んでいることすらあります。しかも角度を変えると、根管の通りかたはなおさら一様ではないのがわかります。さらに頭が痛いのが、「側枝」の存在です。園芸では、植物のメインの枝を主枝、そこから伸びる枝を側枝といいますが、まさにそのような位置づけで、根管を主枝として、根の内部に伸びていく細かな通り道を側枝といいます。根管には必ずといっていいほどある脇道です。ものすごく細く、レントゲンやマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使ってもほとんど見えません。

根管を通る血管は、歯に栄養や免疫細胞を供給しています。側枝のなかを通っている血管も同じような役割をしています。ですから、健康なときは、側枝は歯の健康に役立っているといえます。

しかし、歯の根の治療をしなくてはならないときには一転、悩みの種になります。神経にむし歯が広がった場合、根管のなかだけでなく、側枝のなかにも細菌が感染を起こすことがあるので、その場合は側枝内の細菌も放置するわけにはいかないんですね。根管治療をすることが多い第一大臼歯や第二大臼歯の場合、クイズのこのように平たくつぶれていたり、ひょうたん形だったり、片側がつぶれていたりします。根がくっついているときには、Cの字形になったりもします。このなかをきれいに掃除するって、考えるだけでたいへんそうですよね?

解剖学的にある程度のパターンは存在するにしろ、同じ部位の歯でも、人によって根の形も根管の形も側枝の位置や数も異なります。

それにしても、複雑怪奇な形の根管。神様がいるとしたら、なぜこんな形にしたのか聞いてみたいところです。もっとも、歯の内部を削るという、歯の根の治療はおそらく神様の想定外。問われた神様も困るかもしれませんが・・・・・・・。

※あくまでも、歯科治療というのは元通りになるのではなく、虫歯や歯周病などによって失われた部分を修復しているので、天然歯に勝るものはありません。いつまでもご自身の歯で気兼ねなくお食事ができるように、大きな治療にならないように、定期検診に是非お越しください。