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妊婦さん 美白の努力はほどほどで!!

寒くなってきましたね。雪もチラチラ降る日が増えてきました。体調管理には、十分お気をつけください。   紫外線対策に、日焼け止めや美白コスメが大人気ですが、子どもたちの歯に思わぬ事態が起きていることをご存知でしょうか?紫外線を浴びることで体内で合成されるビタミン D。骨や歯の成長に必須なこのビタミンが欠乏しているお母さんたちの体内で育ち、母乳で育てられたお子さんたちに、エナメル質のできが悪くて歯が弱い「エナメル質形成不全」が急増中なんです!   歯のできが良くない「エナメル質形成不全(MIH)」のお子さんが増えています。10年ほど前は「10人に1人いる」と言われていましたが、日本小児歯科学会の最新調査では、軽度のお子さんも含めると、いま1~2年生の約5人に1人が「エナメル質形成不全」です。   歯は、乳歯でも永久歯でも育つ時期が限られます。 ・乳歯:妊娠4~5ヵ月頃にあごのなかで乳歯のエナメル質ができてきます。 ・永久歯:1歳半~3歳頃にあごのなかで永久歯のエナメル質ができてきます。 エナメル質のできに問題がある場合、その時期に育ちを阻害する何らかの問題が起きているのです。 大きく分けると「遺伝的要因」と「環境的要因」が考えられます。 【遺伝的要因】 ・歯がうまく育たない遺伝子を持っている▶︎もともと母数が少ない ・高齢出産で、1.2倍程度に増えるとされる遺伝病の影響で歯がよく育たない▶︎起きたとしても数%増加する程度 【環境的要因】 ・乳歯に大きなむし歯ができ、その下に育っている永久歯の成長を邪魔した▶︎子どものむし歯は減っている ・乳歯をぶつけてその下に育っている永久歯を傷つけてしまった▶︎ケースが限られる ・歯が育っている時期に歯の成長に必要な栄養が足りなかった▶︎食生活の変化や紫外線対策の浸透でもっとも可能性大!   世界中で起きていますが、米国ではあまり増加していないんです。米国ではビタミン Dの摂取に力を入れていて、食品に添加したり、妊産婦がサプリメントを飲む習慣があるそうです。ですので、「歯の成長期のビタミン Dの欠乏が、エナメル質形成不全を、引き起こしているのではないか」というのが、現在もっとも有力な説なのです。ビタミン Dは、魚やキノコに多く含まれていますが、食べ物以外の要因として考えられるのが「紫外線対策が大きく影響しているのではないか」ということです。仮説であり、検証できるまでには、6~7年はかかりますので、追跡調査をしつつ、あえて現段階から警鐘を鳴らしています。 ビタミン Dは食べ物からとる以外に、皮膚が紫外線に、当たることで体内でも合成されます。効率よく働く質の良いビタミン Dを得ることができるんです。紫外線対策はいけないということではなく、原因の一つとして考えられているということなので、適度な日光浴(1日10~20分程度)をしてみることをオススメします。   エナメル質形成不全の典型的症例とされているのが、永久歯の前歯と6歳臼歯のエナメル質のできが悪いケースです。永久歯の前歯と6歳臼歯は、いちばん早くほぼ同じ時期に育ちます。母乳や離乳食、外遊びが少ないことなどが重なってビタミン D不足となり、乳幼児期に育つ前歯と6歳臼歯のエナメル質の育ちに影響していると考えられます。こうした歯を守っていくには、予防がいちばんです。エナメル質がやわらかくてむし歯菌の出す酸への抵抗力が弱いので、むし歯にならないように定期的に歯科医院に行きましょう。表面がデコボコでバイオフィルム(むし歯菌の巣)がくっつきやすいのも、むし歯になりやすい一因です。歯みがきやフロスを、丁寧にするのはもちろんですが、歯みがき指導やフッ素の効果的な使い方の指導を受けたり、シーラントをしたりして守っていきます。生えかけの6歳臼歯は、溝が深いうえに歯ブラシが届きにくくむし歯になりやすいので要注意です。   エナメル質形成不全の早期発見をし、経過をしっかりみていくように、定期検診には必ずいきましょう!!