子供の歯のケガについて
皆さんこんにちは、中里デンタルクリニック.です。
今日はお子さんの歯のケガについてお話ししていきます。
お子さんが転んだりして、歯をぶつけて「血が出ている」「痛いと泣いている」という場合、保護者の方は迷いなく歯科を受診されると思いますが、そうではない場合、「出血がない」「痛みがすぐに治まった」という場合は、「たいしたことないのかな?」「歯科医院に連れて行くほどのケガかな?」と迷うこともあるようです。
ですが、実はこうしたケースは要注意。血が出ていなくても、歯の根っこ(歯根)や、歯の周りの組織(歯周組織)にダメージが及んでいることがありますし、しばらく時間が経ってから痛みが生じることもあります。
また、お子さんが歯をぶつけて乳歯が抜けてしまったときに、「どうせ少ししたら生え替わる乳歯だから、歯科医院に行かなくていいかな」と考える親御さんもたまにいらっしゃるのですが、これは絶対にNGです。
というのも、歯が抜けるほどのケガというのは、相当な力が歯と歯周組織にかかっています。そのため、乳歯の奥で成長している永久歯の芽に、そのダメージが及んでいることも多々あるのです。
歯の根っこや歯周組織、顎の骨、永久歯の芽といった、見えない部分へのダメージは、X線写真などを用いた専門家による検査が不可欠です。
ですから、出血や痛みがない場合も、ぜひ歯科を受診して、検査を受けてもらえればと思います。速やかに歯科医院を受診していただくと、その分治療がうまくいく可能性も高まります。
ここまでのお話で、歯をぶつけたらそのままにしておいてはいけないというお話をさせていただきましたが、では、歯をぶつけたとき、お口の中ではどのようなことが起こっているのでしょうか?
歯をケガしたとき、お口の中では何が起こっているのか、おおまかに言って、ダメージは次の部位に及んでいるおそれがあります。
①歯の表面(歯冠)
②歯の中(神経「歯髄」)
③歯の根っこ(歯根)
④歯の周りの組織(歯ぐき・歯根膜・歯槽骨)
⑤永久歯の芽(永久歯胚)
実際のお子さんのお口で①〜⑤全てが起こることはまれですが、複数の箇所に同時にダメージが及んでいるケースはよくあります。
①へのダメージのうち、歯が欠けた、折れた、抜けたといったものは、患者さんの目にも明らかです。しかし、歯の表面や内部に、微細な亀裂が入ってしまっていることもあります。また、それ以外の②〜⑤へのダメージは、歯科医院でエックス線撮影検査をしないことにはわかりません。
しかも、こうしたダメージは、ケガをした直後には現れず、何日間、あるいは何週間、何ヶ月と時間が経つにつれ表に出てくるものも多いです。
時間をおいて出てくるトラブルを正しく判断するには、歯にケガをした当初から、歯に揺れや痛み、エックス線写真の所見などの変化を時間をかけて比べていくことが必要となります。
ですから、お子さんが歯をケガしたら、できるだけ速やかな歯科受診をお願い致します。
歯のケガは、目に見えるものだけが全てではないのです。