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歯の変色はなぜ起こる?

皆さん、こんにちは。中里デンタルクリニック.です。   今日は歯の変色についてお話ししていきます。 歯の「変色」とは、着色物質が歯の表面につく「着色」とは違い、歯の内部が濃い色に変わることです。神経(歯髄)が死んだり、治療のために神経を取ると、象牙質の変色が起こりやすくなります。これは、歯の血液循環が無くなるためで、特に象牙質にたっぷりと含まれているコラーゲンは、時間が経つにつれて変色し、色が濃くなっていきます。この濃い色が半透明のエナメル質を通して見えるのが歯の「変色」です。このほか、抗菌薬(抗生物質)の副作用や、治療に使った金属の影響で起きるものもあります。   ここで、象牙質と神経(歯髄)について、ちょっとお話ししていきます。   象牙質の中にはコラーゲンがたっぷりと含まれ、その体積は、象牙質の約4分の1を占めるほどです。神経を失うと血液循環が無くなるため、コラーゲンは古くなり、時間が経つうちに変色して、象牙質の色が濃くなってしまいます。その色がエナメル質に透けて見えているのが「変色歯」です。   神経(歯髄)とは、歯への刺激や細菌の侵入に警報を出して、歯の健康を守る大切なセンサーです。神経のなかの血管には、肝臓に匹敵するほどの血流があり、歯に栄養を届けています。神経を失うと、歯はみずみずしさを失います。   皆さんは、鏡でご自分の歯を見たときに、虫歯になっていないし、本来なら健康できれいな歯のはずなのに、いつの間にかある歯だけが周りの歯よりも黒っぽく目立ってきてしまうことがあります。治療した歯にこうしたことが起こる場合、原因として考えられる代表的なものが「歯の打撲」です。   前歯は特にぶつけやすく、しかも根っこは1本で衝撃に弱いです。 そのため、転んだり、スポーツの試合中に強くぶつけたりしたときに、そのショックで歯の神経が死んでしまうことがあります。   ぶつけたときに歯が欠けたりグラグラしたりすれば、緊急に歯科医院で診てもらうでしょうが、ぶつけたときだけの痛みでは、なかなか歯科医院にはかからないでしょう。歯の色が黒く変わってきてはじめて受診して、「神経が死んでいる」と知って驚くかたも少なくありません。   こうした神経の死んだ歯を、私たちは「失活歯」と呼んでいます。歯の失活による変色は、失活してすぐに始まるとは限らず、何年もかかって徐々に進むことも多いのが特徴です。では、なぜこんな変色が起こるのでしょうか?   神経の中には血液が流れていて、歯に栄養を届けています。意外かもしれませんが、神経の周りにある象牙質には水分やコラーゲンがたっぷりと含まれています。失活すると血液循環が無くなるため、このコラーゲンなどが古くなり変性します。そして時間が経つうちに変色を起こし、象牙質の色が濃くなってしまうのです。その色がエナメル質に透けて見えてしまうのが「変色歯」と呼ばれる状態です。   同じような象牙質の変色は、打撲して神経が死んでしまった歯だけでなく、虫歯などの治療のために神経を取り除いた歯にも起こります。やはり血液循環がなくなり、象牙質が変性することが原因です。   例えば、神経をとってクラウンを被せた歯の歯茎が下がったときに、クラウンと歯茎の境目あたりが黒っぽく見えてしまうことがあります。これは、失活して変色した歯根が見えるためです。 口元の美しさを損なう変色歯で悩む方は少なくないでしょう。でも、「神経が死んでいるからダメだ」とあきらめず、まずは歯科医院でしっかり検査をしてもらいましょう。そして、改善するための方法がいくつかありますので、ご相談いただきたいと思います。