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学校歯科健康診断の紙をもらったら?

みなさんこんにちは!中里デンタルクリニック.です。 少しずつ温かくなってき始めて、春がもうすぐそこという感じがしますね。 まだまだコロナウイルスは油断できませんが、1日でも早く穏やかな生活に戻れることを心から祈るばかりです。   春になると幼稚園〜高校生の皆さんは学校で健康診断が始まると思います。今回はその学校歯科健康診断についてお話しします。   学校歯科健康診断の結果のお知らせの紙を持ってお子さんを連れ歯科を受診したら、紙に書いてある結果と診断が違って「あれ?」と思ったことはありませんか?そうなんです。学校の歯科健康診断は、お口の健康を守り育てるためのスクリーニング。確定診断をし、病名を特定する歯科医院の検診とはチェックの基準や目的が少し異なるのです。今回は健康診断の結果をお子さんのお口の健康によりよく活かすヒントをお届けします。   学校歯科健康診断とは「学校保健安全法」に定められ、文部科学省の指導のもとで行われている児童や生徒のためのお口の健康チェック。一方歯科医院の歯科検診は、厚生労働省の管轄で行われ、精密な検査をしてお口のなかの病気を確定診断し問題を洗い出して、治療や経過観察するために行われています。   ところで、学校と歯科医院の検査結果には、多少の誤差が生じることがあるのをご存知でしょうか。学校の歯科健康診断は、視診のみで行う簡易的な検査なので、私たち学校歯科医がより精度の高い検査を目指すのはもちろんですが、おのずと限界があるのも確かです。むし歯(C)があるからと歯科医院で検査したら、さいわい初期むし歯(CO)だったり、逆にCO(要相談)の指摘でエックス線検査をしたら、むし歯(C)が隠れていたというケースも、少なからずあります。学校では確定診断はできませんが、怪しい場所やリスクの高さの指摘ができます。もしこの健康診断がなければ、児童や生徒のお口のトラブルは、その多くが見過ごされてしまうでしょう。自己管理や定期受診をはじめるきっかけに、学校歯科健康診断を活用して下さい。   では実際に学校では何を調べているのでしょうか?学校歯科健康診断の流れは以下の通りです。 ・骨格の歪みがないか観察 ・顎関節の確認 ・歯並びや噛み合わせの確認 ・歯垢の付着度の確認 ・歯ぐきの状態の確認 ・歯の状態の確認   学校歯科健康診断が終わると検査結果の通知がお子さんを通して親御さんの元へ届きます。そこで目にする歯科独特の言葉について解説していきます   ・CO 要観察歯のことで、視診では明らかなむし歯の穴は確認で きないけれど、初期むし歯の特徴(白濁、白斑、褐色斑)が 認められて、放置すると削る治療が必要になることもあり ます。   ・GO 軽度の歯周病で、歯磨きを丁寧にすれば治る歯茎の炎症で す。いわゆる歯肉炎の状態です。   ・エナメル質形成不全 生まれつきエナメル質が弱い歯で、むし歯のリスクが高 く、噛む力で欠けやすいなどの問題が起こりがち。かかり つけの歯科医院で経過観察や治療を受け、大切に守ってい きましょう。   ・過剰歯 本来必要のない余分な歯が生えています。周りの歯の萌出 を邪魔したり、傷めてしまうことがあるので、早めに歯科 医院で検査を受けましょう   ・中心結節 歯に円錐状の突起があります。折れやすいので、かかりつ けの歯科医院で検査を受け、周りを樹脂で固めたり、少し ずつ削り、フッ素塗布を受けて知覚過敏やむし歯から守っ ていきましょう   ・癒合歯 隣り合った歯が発育途中でくっついて生えたものです。生 え替わりの時期に影響したり、境目がむし歯になりやすい ので、かかりつけの歯科医院で経過観察を受けましょう   ・先天性欠如歯 本来は永久歯に生え変わるのですが、生まれつき永久歯が 足りないと、乳歯がそのまま残ります。エックス線を撮っ てはじめて確定診断できるので、かかりつけの歯科医院で 調べてもらい、予防して残った乳歯を大事に守っていきま しょう   ・叢生 あごの骨に歯が並ぶスペースがなく、乱ぐいになっていま す。前歯が永久歯に生え変わるころから急に目立ち、小学 校低学年の歯科健康診断で指摘されはじめます。骨格が完 成に近づく思春期成長期より前の治療が効果的。   ・開咬 奥歯を噛んでも前歯が閉じず、飲み込みや発音に支障が出 やすくなります。舌を前にクセがあると成長とともに問題 が拡大ふるので、思春期成長期前の骨格誘導と舌のトレー ニングが効果的。   ・上顎前突 前歯が並びきらず前に迫り出す、あるいは上あごの骨格が 前に出過ぎる、または下あごの骨格が奥に引っ込みすぎる ことが原因です。前歯が永久歯に生えかわるころから目立 ち、小学校低学年の歯科健康診断で指摘されはじめます。 骨格性の場合は、とくに思春期成長期前の治療が効果大。   ・交叉咬合 上下の奥歯が、本来とは反対の噛み合わせになっていま す。しっかりと噛めず、成長とともにあごの骨格の歪みが 拡大しがち。永久歯の交叉咬合は小学校低学年の歯科検診 で指摘されはじめます。低学年の早い時期からの治療が有 利。   ・反対咬合 上あごの前に下あごのさが出た状態で、しっかりと噛むこ とができません。下あごが上あごにかぶさって、上あごの 成長を邪魔するため、成長するとさらに目立っていきま す。骨格が完成する思春期成長期の前ならば骨格の誘導で 改善されますが、できれば低学年の早い時期からの治療が 有利。   ・正中離開 前歯のあいだに隙間ができています。歯ぐきとくちびるを つなげている小帯や過剰歯の影響も考えられるので、まず はかかりつけの歯科医院で検査を受けましょう。   ライフステージによって歯の病気のリスクは変化していきます。だからこそ子どもの頃から歯科の知識と歯を守る習慣を身につけて、対応していく必要があります。学校歯科健康診断の紙をもらったら是非一度歯科医院を受診することをオススメします!