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低ホスファターゼ症について

 こんにちは。中里デンタルクリニック.アシスタント荒谷です。八戸でコロナクラスターが発生していて、みな様は大きな不安を感じながら過ごされていると思います。当院の感染対策は万全ですので、安心してご来院くださいませ。 さて、今回のテーマは「低ホスファターゼ症」ですが、あまり聞き覚えのない病気かと思います。骨や歯を作る酵素、アルカリホスファターゼ。この酵素が体内に少ないために、骨や歯の成長が妨げられてしまう先天性の病気を「低ホスファターゼ症」といいます。重症型のお子さんの場合は、出生と同時に診断がつき、治療を開始しますが、軽症型の場合、体の骨にはほとんど問題が見られないため、見逃されたまま、成長してから影響が出てくるケースも見受けられます。実は、そんな軽症型の低ホスファターゼ症の早期発見に役立つのが歯科への受診です。「歯の生え変わりにはまだ早いのに、乳歯が抜けてしまった」というときには、念のため、抜けた歯を歯科医院にお持ちになり、受診されてください。  低ホスファターゼ症の患者さんでは、症状の重さにバリエーションがあります。重症型の場合、胎児のときから診断がつくなど、まず見逃されることはなく、酵素の補充治療が開始されます。一方、軽症型など「この子は骨折しやすいなぁ」「体が小さいなぁ」「歯が弱いなぁ」気がかりに思いながらも、体の骨に深刻な問題がなく、日常生活に支障がないと、それが病気の影響だとは気づかず、治療の機会を逃してしまう方がいます。良い薬が開発され、重症型の方が救われるようになった今、次の課題として注目されているのは、「軽症型の患者さんをどう救うか」です。軽症型スファターゼ症のお子さんに起きやすいのが、乳歯の早期脱落です。体の骨には症状がでず、歯だけに症状が出る患者さんもいます。永久歯の生え変わりの時期になる前に、乳歯の前歯がグラグラして抜けてしまう、ぶつけた拍子に抜けてしまうこともあり、特に下の前歯です。永久歯に生え変わるのは6歳頃ですので、「4歳になる前に乳歯が抜けたり、グラグラしていたりする時は小児歯科を受診しましょう」と注意喚起をしています。乳歯が抜けたことをきっかけに、小さいときに病気が見つかれば、すぐに治療が始められます。 【隠れ低ホスファターゼ症の早期発見に役立つチェックポイント】 □4歳になる前に乳歯の前歯が抜けた。 □抜けた歯に根っこがある。 □抜けた歯の周りの歯もグラグラしている。 低ホスファターゼ症は「10~15万人に1人の希少疾患」と言われていますが、これはあくまでも重症型の患者さんのことを指しています。軽症型の患者さんは数百人に1人いるので、例えば小学校に1人いてもおかしくはないということになります。以上のチェックポイントで、ぜひ、早期発見につなげていただき、あてはまる場合は、歯科医院に受診されてください。