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歯の根の治療って難しいんです…

みなさま、こんにちは。 中里デンタルクリニック、受付の下舘です。 今年のゴールデンウィークもご自宅で過ごされた方が多かったのではないでしょうか?はやくいつもの生活に戻れる日が来ればいいですね…。   今週は、「歯の根の治療」についてです。   むし歯が悪化して、歯の内部の神経にまで達した場合、激しい痛みをともなうだけでなく、そのままでは歯を失うことになります。そんな時、歯を残す切り札となるのが「歯の根の治療」です。歯にとっては心臓病の手術並みの大手術ですが、どんなことをするのかご存じでない方、意外と多いのではないでしょうか?「歯の神経をとる」だけではないんです!!   「根の治療」は細菌に感染した部分を取り除く治療です。歯の内部には神経があり、それが通る管を「根管(こんかん)」と呼びます。歯の神経にむし歯が及んでくるというのは、根管のなかの神経が細菌感染を起こしている状態です(正確には歯髄(しずい)=「神経と血管」が細菌感染を起こしているのですが、わかりやすいように「神経」と呼びます)。 むし歯の穴から細菌が入り込む以外にも、歯ぎしりなどの過剰な噛む力や、転んだ、ぶつけたなどの外傷により歯に亀裂が生じ、そこから細菌が神経に入り込んで感染を起こすこともあります。ズキズキとした非常に強い痛みは、細菌が起こす炎症や、炎症によってできた根の先の膿によります。 歯の根の治療は、「歯の内部の細菌感染を起こした部分をきれいに取り除く」治療です。根管の中を掃除するので「根管治療」とも言います。取り除いたあとは、細菌をあらたに入り込ませないように、削ったすき間を埋めます。感染した部分がなくなれば痛みもなくなってきます。 とはいえ、感染部分をきれいに取り除くのは非常に難易度が高いです。根管は1㎜以下と非常に小さく、形も複雑で人それぞれ違います。しかも相手は数㎛(マイクロメートル)というミクロの細菌。取り切れていないとまた繁殖して感染を引き起こします。ですので、歯の根の治療は、歯科治療の中でももっとも難しい治療のひとつとされています。ぜひご理解いただければと思います。   細菌を取り除くには、「感染部分を除去」しなくてはなりません。エナメル質や象牙質の感染部分(むし歯)を削り取ったら、根管内の感染部分(死んだ神経)を除去します。ファイルやリーマーという、待ち針のような器具を根管内に挿し込んで、少しずつとっていきます。 根管の中は目で見えないので、歯科医師は歯の解剖学的知識とレントゲン写真などを手がかりに、指先に全神経を集中して治療を進めます。器具の先端で細い根管の位置を確かめ、感染部分を削っていきます。器具を挿し込むときに角度的に邪魔になるようなら、虫歯になっていないエナメル質や象牙質を削ります。「え!?健康なところも削るの?」と思われるかもしれませんが、もしそこを削らないせいで器具が十分に届かず、感染部分をきれいに除去できないとなると、治療の成功はまずありえません。 命にかかわる心臓病の手術をするのに、「胸に傷がつくから嫌だ」という方はいらっしゃらないですよね。ご理解いただけると幸いです。   ファイルやリーマーは非常に細い器具とはいえ、根管の形状は複雑なため、100%取りきることは不可能です。除去したときには、細かい削りかすがでます。削りかすは細菌のかたまりですので、これもしっかり取り除く必要があるため、根管内の「洗浄と消毒」を行います。洗浄したら、すき間に消毒薬を詰めて「仮詰め」(仮封)をします。根管の形状が複雑だったり、根管の本数が多い場合は、治療が長時間にわたり患者さんに体力的な負担がかかりますので、一度仮詰めをして、「続きの治療は次回に」となります。ですので治療回数がかかります。 次におこなうのは「根管充填」。根管内の内部を埋める処置をします。仮詰めを外して、根管内の消毒薬を洗浄してシーラーという充填材とガッタパーチャというゴムのスティックを挿し込みます。 この処置は、内部を埋めて強度をもたせるためではなく、根管内に新たに細菌が入ってくるのを防ぐことが目的です。根管の充填が終わったら、歯を整形して仮歯を装着します。ここでお願いしたいのですが、仮歯が入ると途中で治療を中断される(来なくなってしまう)方がいらっしゃいます。仮歯はあくまでも「仮」の存在だということ。仮歯で噛めるようになったからといっても、仮歯の耐久性は、本番の被せ物よりもずっと低いです。劣化したり外れたりします。根管充填をして仮歯が入れば治療終了まであと一息です。治療を先延ばしはおやめください。   「根の治療」少しお分かりいただけましたでしょうか? 当院でも根管治療をされている方は、たくさんいらっしゃいます。わからないこと、不安なこと、ぜひお気軽にスタッフまでお声がけください♬