
お口を閉じている時に、上下の歯が接触しているかどうか、意識している人は少ないでしょう。
しかし、実際には「TCH(Tooth Contacting Habit)」と呼ばれる癖を持っている人がいます。
この記事では、TCHがどのようなものか、そしてその影響について詳しく解説します。
◾️TCHとは何か?
- TCHの特徴
TCHとは「何もしていないときに上下の歯が接触し続ける癖」のことを指します。通常、リラックスした状態では上下の歯は接触しておらず、わずかな隙間がある状態が自然です。しかし、何らかの理由でこの隙間がなくなり、歯が長時間接触している状態が続くことがあります。
- TCHが起こる原因
TCHの原因としては、ストレスや不安、集中している時の無意識の動作などが考えられます。また、顎の筋肉の緊張状態が続くことで、歯が長時間接触してしまうこともあります。これが続くと、顎関節や歯、咀嚼筋に負担がかかる場合があります。
◾️本来はお口を閉じている時も上下の歯が、2〜3mm開いている状態が良い
何もせずに口を閉じているとき、上下の歯が接触しているのが正しいと思っている方もいるかもしれませんが、実は理想的な状態ではありません。
唇が閉じていても、上下の歯の間には2~3ミリのすき間があるのが自然です。
顎は顎関節でぶら下がっているため、筋肉に力が入っていなければ歯と歯は離れているのが普通です。
※日本歯科医師会「朝昼晩 歯と歯磨きを科学するデンタルWEBマガジン」
◾️ 上下の歯が接触している時間は、1日平均17.5分
2010年に発表された西山らの論文、J-STAGE「企業就労者の顎関節症症状に影響を及ぼす寄与因子の検討」によると、上下の歯が接触している時間は、1日平均17.5分という報告があります。
この報告から、実際日常生活の中で歯と歯が接触しないのが通常と言えます。
◾️TCHの影響
①顎関節への悪影響
TCHが続くと、顎関節に負担がかかり、顎関節症のリスクになる場合があります。顎関節症は、顎の痛みや開口障害、クリック音を伴うことがあり、日常生活に支障をきたす可能性があります。
②歯への負担
歯が常に接触している状態が続くと、歯に過度の摩耗が生じる可能性があります。これにより、歯の表面が削れ、知覚過敏や歯の亀裂につながる恐れがあります。
◾️食いしばりや歯ぎしりの悪影響
- 食いしばりの影響
食いしばりは、TCHよりも強い力で歯を接触させる癖です。これにより、歯や顎関節にさらに大きな負担がかかります。食いしばりによって歯が割れたり、顎関節に強い痛みを伴ったりするなどの恐れがあります。
②歯ぎしりの影響
歯ぎしりは、睡眠中に無意識に歯を擦り合わせる癖です。歯ぎしりが続くと、歯のエナメル質が削れてしまい、歯の形状が変わってしまう恐れがあると考えられています。また、顎関節に負担がかかり、顎関節症の原因となることがあります。
◾️TCHを改善する方法
ストレス管理
TCHの改善には、まずストレスを管理することが重要です。長時間同じ姿勢でいないよう、定期的に体を動かすなどすることで、ストレスを軽減し、顎の筋肉の緊張を緩和することができます。
②口腔習慣の見直し
意識的に口を開ける時間を設けることで、上下の歯の接触を減らすことができます。また、緊張している時や力がかかる際は食いしばっていないか、顎に力がかかっていないか思い出すことが大切です。
③歯科医師に相談する
歯科医師に相談することで、個々の患者様の状況に応じた改善策を提案してもらうことができます。
歯科医師が診断した結果、必要に応じてナイトガードの提案を受けることもあります。
まとめ
何もしていないときに歯と歯が接触していない状態が自然であり、TCHはその自然な状態を乱す癖です。TCHや関連する食いしばり、歯ぎしりは、歯や顎に悪影響を及ぼす可能性があります。
日常生活の中で意識的に歯の接触を避けることが、健康な口腔環境を維持するために重要です。ストレスを管理し、適切な習慣を身につけることで、TCHの影響を軽減することができます。
歯科医師のアドバイスを受けながら、TCHの対策を行いましょう。
***――――――――――――――――***
八戸市
補綴専門医
セラミック
ジルコニアホワイトニング
インビザラインGO(マウスピース矯正)
中里デンタルクリニック.
歯科医師 歯学博士 中里好宏
住所:八戸市鷹匠小路12-1
Instagram:@nakasatodental
***――――――――――――――――***