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お口の中はレンサ球菌の巣窟

皆さんこんにちは。中里デンタルクリニック.アシスタントの石橋です。4月に入っても、暖かかったり寒かったりの日々ですが、風邪など引いていませんか? 私たちのお口に棲む細菌は1000種類以上。きれいに歯磨きしても100億個が棲み、雑だとなんと1兆個も?!切っても切れない細菌との縁。上手に付き合う作戦が必要です!さて、今回は「レンサ球菌」についてのお話です。 【砂糖を栄養源に、ガンコにへばりつく!】 お口の中にいる細菌は約1000種類。その中で常に棲みついているのは約150種類です。デンタルプラークや唾液に最も多いのが「レンサ球菌」(ストレプトコッカス)という細菌の仲間です。ストレプトコッカスとは「しなやかに連なる球状の菌」という意味で、試験管で培養すると丸い菌が数珠状に連なります。レンサ球菌と一言に言っても実は性格は色々で、なかには、喉の炎症やリウマチ熱、敗血症などの致死的な感染症を引き起こす恐ろしい種類もいます。ただ、おおかたは、感染していても普段特に悪さをしない「日和見菌」のレンサ球菌です。お口の中のレンサ球菌の代表格、「虫歯の原因菌のミュータンス菌」もこのたぐい。普段はごく大人しく潜んでいる細菌です。ただし砂糖が大好物で、この砂糖を使って菌体の周りにグリコカリックスというヌルヌルベタベタ物質を出すのがやっかい。お互いにくっつき大きな集団をつくるだけでなく、歯にくっついて丈夫な膜を張ります。これがバイオフィルムです。ミュータンス菌は、歯科では大変な悪漢として知られていますが、実は、砂糖を食べない人にとっては害がありません。 〜ストレプコッカス・サングイニスについて〜 〈本来の仕事〉 ・お口に入り込むよそ者の細菌の警備。 〈性格〉 ・真面目な働き者。 ・しつこいのが玉にキズ。 〈得意技〉 ・ベタベタを作ってくっつく。 ・血管にくっついてベタベタの膜を張り、忍術のように追手の白血球から逃れる。 【お口の中ではいいやつ。血液に入ると豹変!】 菌にくっついているデンタルプラーク中で最も多いレンサ球菌が「ストレプトコッカス・サングイニス」です。サングイニスとは血液のこと。お口の中に多いのに「サングイニス」と命名されたのは、血液で良く見つかるからです。ストレプトコッカス・サングイニスは、過酸化水素やバクテリオシンというたんぱく質を出し、お口の中に入り込む外来の菌を攻撃します。お口の善玉菌とさえ呼ばれることもあるのですが、しかし恐ろしいのはここからです。実はデンタルプラークの細菌は、歯周ポケットなどから体内に入り込み血液に乗って体内を巡っています。特に歯周病になって歯周ポケットに細菌の巣窟を持ち、やつらをわんさか培養している人の血液中には多くの細菌が入り込みます。ただし、細菌を食べて殺してくれる血液中の白血球は、1秒間に10万個以上も作られています。健康な人なら、やつらを瞬く間に死滅させることが出来ます。ところが、免疫力が低下し易感染性宿主となった方の場合、白血球に見逃されたストレプトコッカス・サングイニスなどのレンサ球菌が体内を巡ります。こいつらは心臓弁膜の傷を足場にして付着し、丈夫な膜=バイオフィルムを作って忍者のように白血球から隠れ、細菌性心内膜炎を起こすのです。また、冠状動脈のステントや人工関節などにも、お口のレンサ球菌がベタベタのバイオフィルムを作り、難治性の感染症を起こします。持病や加齢による免疫低下に備えて、細菌の入口になってしまう歯周ポケットができないように、日ごろから歯周病の予防のため歯科でクリーニングを受けましょう!