トピックス TOPICS

インフルエンザの感染はお口の中の細菌も影響します。

こんにちは!!中里デンタルクリニック.歯科助手の八幡です。 最近暑い日が続いていますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?夏バテになっていませんか? 今回は冬に流行するインフルエンザとお口の中の関係性をお伝えします。 虫歯や歯周病などのお口の病気にかかっている人や、お口の清掃が不十分な人はインフルエンザにかかりやすく、重篤になってしまうことが証明されています。 ウイルスは、細胞にくっついていて、そのなかに入り込んで生きる病原体です。まずはインフルエンザウイルスの感染から発症までの仕組みをご説明します。 鼻や口からからだに入り込んだウイルスは、鼻腔や咽頭などの上気道の粘膜に付着します。そして、ウイルス表面にある特殊な突起―HA突起(HA抗原)をカギのように挿し込んで、粘膜の細胞内に侵入します。 細胞のなかで増殖して仲間をふやすと、今度は表面にあるNA突起(NA抗原)をハサミのように使って、隣の細胞に飛び出し付着して入り込んでいきます。これが繰り返されてウイルスに浸された細胞が増えていき、インフルエンザが発症します。 お口のなかには、何百種類もの細菌が数百億も住みついています。細菌は、唾液や、歯と歯ぐきのあいだからしみ出る体液を栄養にして増えます(食べかすを栄養源にするというのは誤解です)。お口の病気にかかっていたり、お口の清掃が不十分だと、その数は数千億にもなってしまいます。 歯の表面につくられるプラーク(歯垢)は、「バイオフィルム」といわれる細菌のかたまりで、100%が細菌とそれがつくったネバネバ物質からできています。歯の表面だけでなく、歯周ポケットや舌、のどなどにもいろいろな種類の細菌がバイオフィルムとなって住みついます。それらの細菌が出す酵素は、上気道の粘膜を覆っている薄い膜を溶かしてしまします。すると、細胞表面のインフルエンザウイルスをキャッチするようになります。 レセプターが露出することで、HA突起やNA突起―つまりウイルスのカギとハサミのはたらきが助けられるので、ウイルス感染が広がりやすくなります。また、細菌がつくる毒素は、細胞に害を及ぼしてウイルスの侵入を許してしまいます。 だからはみがきでお口のなかの細菌を減らすということが大切になります。 実際、デイケアに通う要介護状態の高齢者に、歯科衛生士さんが週2回のお口の清掃をして、清掃の仕方も教えてあげたところ、インフルエンザにかかった人が少なくなったという研究報告もあります。 皆さんも食べたら磨くを意識して、これから流行するインフルエンザウイルス対策をしましょう。