ウェーデンの子供の虫歯が増えている
こんにちは!中里デンタルクリニック. 八幡です。
「予防歯科の先進国」だとテレビや雑誌でよく紹介されるスウェーデン。でも実際に暮らしていると違った顔が見えてきます。ストックホルムの公立歯科医院で働くスウェーデンの歯科事情の現地ルポがありますので、今回はそちらをご紹介します。
スウェーデンでは子どもたちはごく小さいころからフッ素(フッ化物)を当たり前に使っています。しかし、最近の子どもたちには意外にも虫歯が増えていて、問題になっているんです。
当院でも子供の検診は毎日ありますが、虫歯が多くてがっかりしてしまうことも・・・。
国内の3〜10歳の子供たちを対象にした調査によると、日本でいう小学校低学年ごろの子(7〜8歳)にとくに虫歯がふえています。2011年ではむし歯を経験した乳歯の数が、「3」以上の8歳児は15.4%でしたが、2017年には18.8%とかなり増加しています。そして、残念なことに、むし歯が「0」の子供の数も年々減少しているのです。
調査を行った機関は、「いまの親世代は歯のトラブルを経験したり、派手苦労したことがとても少なかったため、子どものお口の健康について真剣に考えなくなってしまったのが原因ではないか?」と推察しています。
実際に、50代以降の患者さんと20代〜40代前半くらいの患者さんでは、歯に対する意識がけっこう違うなあと感じます。「自分は歯で苦労したから子どもたちには厳しくしてきた」という先輩のかたの子どもは、おかげであまりむし歯にならずに成長します。しかしそのぶん「歯の大切さ」を実感できていなくて、いざ自分が親になったときに、それを我が子に教えるのを忘れてしまっているように思えます。
子どもの検診の際にそうした保護者のかたと話すと、毎日、完食を頻繁にしていたり、ジュースを飲んだりしていることがあります。仕上げみがきをないがしろにしているかたも多く、聞いてみると「私が歯で苦労したことがなかったので、あまり真剣に考えていませんでした」。
いくら乳歯に生え替わるといっても、むし歯の痛みや治療がトラウマになって子どもが歯科恐怖症になってしまうこともあれば、早くに乳歯が抜けたせいで将来の歯並びに問題が出てくることもあります。
一度歯医者さんにトラウマを抱くと、大人になってからも通うことがなかなか難しくなりますよね。子どもの一生のむし歯予防のため、歯の大切さを忘れている保護者のかたに意識を変えてもらうのも、これからの歯医者さんが担う役目だと思います。