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どうして歯ぐきは下がるの??

みなさんこんにちは。中里デンタルクリニック.歯科衛生の木村です。遂に八戸も本格的に雪が降り始め、積雪になっていますね。体調はもちろんのこと、道路状況も悪くなってきますのでくれぐれも事故には気をつけてください…!   当院には歯が痛いという訴えでいらっしゃる患者さんもいますが、「歯茎が下がった気がする」という患者さんも多くいらっしゃいます。どうして歯茎が下がってしまうのでしょうか?今回はそのことについてお話しします。   歯ぐきが下がるいちばんの原因は、歯周病の進行による「あごの骨(歯槽骨)の破壊」です。歯は土台となるあごの骨に埋まるように生えています。そして歯をぐるりと囲むあごの骨にかぶさるように、歯ぐきが付着しています。歯周病が進行すると少しずつあごの骨が破壊されて、溶けて沈んでいきます。いわば”地盤沈下”の状態で、これにともないあごの骨に付着している歯ぐきもいっしょに下がっていくのです。 また、歯周病で起こる歯ぐきの炎症も、歯ぐきが下がる一因です。炎症が続き歯ぐきの組織が壊されるとその付着力が低下し、あごの骨や歯からはがれやすくなります。   といっても、患者さんにはこの状況はなかなか気づきにくいものです。歯周病が悪化して痛みや出血があり歯科にかけこむときはたいてい、歯ぐきが腫れて歯にかぶさるように盛り上がっているからです。その様子は健康な歯ぐきのようにも見えます。ですが、これはきわめて病的な状態。歯ぐきの炎症は歯周病菌が体内に侵入するのを防ごうとするからだの反応で、病原菌を撃退するために、白血球などが毛細血管を通じて歯周病菌のいる歯ぐきに集まります。すると血管が充血して太くなるので、歯ぐきが腫れ、赤く見えるようになります。集まってきた白血球からは、細菌を殺す炎症性物質がさかんに産生されます。この炎症を放置すると痛みや腫れはさらに悪化し、膿なども出て歯周病がさらに進みます。 そのため、治療では歯周病菌のかたまりであるプラークや歯石(プラークが石灰化したもの)を徹底的に取り除きます。こうした処置と患者さん自身の治す力により歯周病菌の活動がおさまると、歯ぐきの腫れは消失します。   しかし、この結果、歯ぐきはあごの骨の位置にまで沈むので、歯周病が進んであごの骨が溶けて減っている場合、治療前に比べ大きく歯ぐきが下がって見えるのです。患者さんによっては、歯の根(歯根)が見える位置まで下がり、歯と歯のすき間が目立つようになることもあります。歯周病治療で歯ぐきが下がることは、現段階の技術では残念ながら避けられません。私は患者さんに「治療の後遺症のようなものとお考えください」とお話ししています。   でも視点を変えれば、歯ぐきの腫れがなくなったということは、歯周病菌が制圧され、歯周病の進行が止まった証拠です。この点が非常に大事です。歯周病がさらに進行してあごの骨がほとんど失われてしまうと、歯は土台を失い抜けてしまいます。そうなると抜けた歯を補う治療をしなければなりません。最近は質の高い入れ歯やインプラントなどがあります。ですがそれらがどんなにすばらしいものでも、噛み心地やおいしいものをいただくときの味は天然の歯には到底かないません。だからこそ、歯を失わない段階で治療ができたことを前向きにとらえてほしいと思います。そしてこれ以上歯周病が進まないように、定期健診に努めていただきたいと切に願います。