歯ぎしりと歯周病の関係
みなさんこんにちは。中里デンタルクリニック.アシスタントの荒谷です。コロナワクチン接種がどんどん進み、当院のスタッフのほとんどが二回目接種を終えました。恐れていた副反応である発熱に苦しみながらも、なんとか乗り切り、みなさんのお口の健康のために日々、励んでおります。ワクチン接種に加え、感染対策も万全にしておりますので、どうぞ安心にて来院されていただきたいと思います。
さて、今回は歯ぎしりについてお話していこうと思います。最近、患者様と一対一でお話させていただき、お口の中のお悩みをじっくりと伺う機会が増えたのですが、歯ぎしりやくいしばりをご自覚されている方が結構多いように思えます。歯ぎしりやくいしばりが、歯に悪影響を及ぼさないか心配される方も中にはいらっしゃるのですが、実は、歯周病の悪化に関係していると考えられます。そのことについて、以下で解説していきますね。
【過剰な力であごの骨が減ってしまう】
ひとくちに歯ぎしりと言っても、歯科ではいくつかのタイプに分けて考えられます。ひとつは、就寝中にあごを左右に動かして、ギリギリと音が鳴るもので、これは狭義の歯ぎしりで「グランディング」と呼ばれます。また、あごを動かさずに、上下にグッと噛みしめるくいしばりは「クレンチング」、上下に歯をカチカチと鳴らすものは「タッピング」と呼ばれます。これらはまとめて「ブラキシズム」といいます。原因は明確にはなっていませんが、日常のストレスが大きく関与しているという説が有力です。
歯周病の原因といえば、細菌であることはご存じかと思いますし、これらの歯ぎしりが直接、歯周病の原因になることはありません。しかし、強い力が歯に加わり続けることで、歯の根やその周辺の骨組織に負担がかかり、歯の動揺が増して、ある特定の部分のあごの骨が減ってしまうことがあります。そのため、歯ぎしりも歯周病の症状を悪化させる因子の一つだと言えます。ですから、歯ぎしりやくいしばりがあり、歯周病を患っている方は、歯周病の治療と共に、歯ぎしりへの歯科的な対応が必要と思われます。
【ナイトガードで、寝ているときに歯を守る】
歯ぎしりによる、特定の歯への過剰な圧は、歯の周りのあごの骨に負担をかける他、歯自体の摩耗も引き起こすことがあります。それを防ぐには、ナイトガードというマウスピースを利用する治療法があります。普通マウスピースと言えば、ボクシングのように、外側からの衝撃から歯を守るものですが、ナイトガードは、ご自分の過剰な噛む力から、歯やあごの骨を守るものです。就寝時に装着することで、一部の歯にかかっている圧がすべての歯に分散されます。
【認知行動療法で起きているときに歯を守る】
起きているときの、無意識の歯ぎしりの予防には、認知行動療法が推奨されています。3段階になっていて、まずは①行動変容の動機付けです。「歯ぎしりをすると、歯周病が悪化するのだ」と意識することです。二つめは②行動変容の実施です。家や職場に「上下の歯をくっつけないように」や「あごの力を抜くように」などと書いたメモを貼って、メモに気づいたら息を吐きながら顔面から上半身にかけて力を抜きます。そして三つめは③行動変容の強化です。最終的には上下の歯が接触すると条件反射で無意識に歯を離せるようになると良いです。
歯ぎしりでお悩みの方、そして歯周病になっているという方は、マウスピースの作製や、認知行動療法の指導を受けることをお勧めします。あとはあまりストレスをためないことですかね。コロナ渦で生きづらい世の中ではありますが、感染対策をした上で、たくさん息抜きをしてみてくださいね!