「舌痛症」について
こんにちは。中里デンタルクリニック.アシスタントの荒谷です。あっという間に2月も終わり、だんだん春が近づいてきてワクワクしますね。コロナのワクチン接種が順調に進み、皆さんが早く日常を取り戻せますように…。
さて、今回は歯ではなく舌のお話です。皆さんは「舌痛症」って聞いたことはありますか。「口腔灼熱症候群」の一種で、いくら調べても原因が見つからないのに、舌がヒリヒリ、ピリピリと慢性的に痛むという、とても辛い病気です。発生頻度は100人に1~3人程と言われ、患者さんの大半は中高年の女性です。舌痛症の特徴について、以下にまとめました。
【舌痛症の特徴】
・中高年の女性に多い。
・原因不明の舌のヒリヒリ感が慢性的に続く。
・舌が何かに触れなくてもヒリヒリ感がある。
・歯科治療を受けた頃から始まることもあるが、誤って噛んだキズや口内炎のほか、きっかけが見当たらないケースも多い。
・痛みは多くの場合、起きている間だけで、就寝中はない。
・食事中は悪化せず、痛みを感じないこともある。
・何かに集中しているときは痛みが減り、考え事をしているときに痛みが増す。
・朝よりも夕方にかけて痛みが増しやすい。
・時間帯や日によって、痛みの程度や場所が変動する。
・ロキソニンやボルタレンなどの鎮痛剤が効かない。
舌痛症の診断では、はじめに「舌に触れる歯や入れ歯に、キズつけるような問題があるか」を確認する必要があるため、歯科受診が必要です。そして、特に異常が見つからない場合、舌痛症の診療を行っている口腔外科や口腔内科、歯科心身症の専門外来などを紹介してもらうと良いでしょう。舌痛症は、原因も治療法も十分にはわかっていませんが、少なくとも、心身両面からの対応が必要な病気であることは確かです。
舌痛症の診断を受け、その発症に心理面が関わっていると知ると、ショックを受ける患者さんが多いです。舌痛症だからと言って、その方がストレスに弱いというわけではありません。もともとストレスに強い方でも、過剰にストレスを受ければ、限界を超えてしまうからです。もしかしたら舌痛症は、患者さんの心が、「そろそろ休みませんか」「のんびりしませんか」と発しているシグナルなのかもしれません。原因がわからないだけに、ピンポイントの治療が進められなく、痛みの改善は一進一退しながらゆっくりと進んでいきます。治療結果に100%を求めず、「生活に支障のない範囲なら良し」と、痛みと付き合っていくような気持ちで進めていきたいですね。