歯周病は全身の健康にも関与していると言われていますが、果たして本当なのでしょうか?本記事では特に関連性が強いとされている、歯周病と認知症のつながりについてお話していきます。
■歯周病とは
歯周病は約7割の人が罹患していると言われている炎症性疾患です。細菌の感染によって引き起こされ、自覚症状が少なく、静かに進行していくのが特徴です。進行していくと歯茎や歯を支える骨が溶かされてしまい、膿が出たり、歯がぐらついたりといった症状が現れ、最悪の場合歯を失うことになります。歯周病は歯間部や歯茎の境目を磨き切れず、プラークや歯石が蓄積されてしまうことにより発症します。歯周病はお口の中だけでなく、全身の健康とも密接に関連すると言われています。
■認知症とは
認知症は加齢に伴って発症するリスクが高くなる、脳の病気です。さまざまな原因が絡み合い、脳の細胞が死んでしまったり、脳の働きが衰えてしまい、今まで当たり前にできていたことが困難になったり、物忘れが悪化したりするなど、日常生活にも影響をきたします。
認知症には、「アルツハイマー型認知症」「前頭側頭型認知症」「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」の4種類があり、なかでも「アルツハイマー型認知症」がもっとも多く見られます。
*「アルツハイマー型認知症」
アルツハイマー型認知症は、正常な状態であれば分解されて排出されるはずのたんぱく質=「アミロイドβ」が脳に過剰に蓄積されることで発症します。アルツハイマー型認知症になると、脳が萎縮して機能が低下し、神経細胞の働きも失われていきます。
■歯周病と認知症の関連性
アルツハイマー型認知症を防ぐためには、発症因子となる「アミロイドβ」が蓄積するのを防ぐ必要があります。しかし、歯周病になってしまうと歯周病菌によって酵素(カテプシンB)が増え、それに伴って「アミロイドβ」の生成や蓄積を促してしまうことが明らかになっています。北京理工大学や九州大学などの研究チームが研究した結果によると、その蓄積量はおよそ10倍にもなるとされています。また、記憶力が低下することも明らかになっています。
歯周病菌は歯やお口の中だけに止まらず、血管や神経を通じて全身に運ばれてしまいます。歯周病になってしまうと認知症のリスクも高くなってしまうだけでなく、糖尿病などの全身疾患のリスクも高くなってしまいます。自身の健康を守るためにも歯周病予防は徹底していく必要があります。
■まとめ
歯周病は虫歯などの疾患に比べると痛みや違和感などのわかりやすい症状がなく、静かに進行していくので「サイレントディジーズ」とも呼ばれています。歯周病を予防するためにもっとも重要なのは汚れをそのままにせず、隅々まで綺麗にしてプラークコントロールを行うことです。セルフケアだけでは磨き切れない箇所もあるので、歯科医院での定期健診もしっかり受けるようにしましょう。