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特病とお薬、教えてくださいパート2

こんにちは!歯科衛生士の木村です。12月とは思えない暖かさが続いていますね。今週は本格的な寒さがやってくるようです。皆様体調にはお気をつけ下さい。

今回は前回の続きです。血栓症と血液サラサラのお薬についてお話します。

▼血のかたまりが血管を塞ぎます

血管内に血栓(血のかたまり)ができ、血管を塞いでしまうことで起こる病気です。血管が塞がるとその先の細胞に栄養が届かず、やがては壊死を起こします。脳や心臓の血管が詰まって脳梗塞や心筋梗塞となった場合、命にかかわります。

▼動脈と静脈で仕組みが違います。

血栓には2種類あり、ひとつは動脈にできる動脈血栓です。血流の速い動脈内で、血液の粘度と血流の速度のバランスにより、血小板が凝集してしまうことで血栓ができます。

もうひとつは、静脈にできる静脈血栓です。静脈の血流が遅いときに、凝固作用のある赤血球とフィブリンが固まって血栓になります。

▼血栓症の種類によりお薬が変わります

血栓症の発症を抑制するために飲んでいただくのが抗血栓薬。いわゆる「血液サラサラのお薬」で、服用するかたが飛躍的に増えています。

動脈で血小板が固まらないようにするのを抗血小板薬といい、「バイアスピリン」がよく知られています。一方、静脈で赤血球とフィブリンが固まらないようにするのを抗凝固薬といい、こちらは「ワーファリン」が有名です。

血栓の形成を予防するお薬のほかに、できてしまった血栓を溶かすお薬もあります。これらは血栓が血管を塞がないように、飲み続けなくてはなりません。

▼40年以上前は休薬が常識だった

じつはいまから40年以上前は、抗血栓薬は、外科治療を受ける際には服用を止めてもらうのが常識でした。「歯医者さんで手術を受けるんですけど」と患者さんが主治医に相談すると、「では、血液サラサラのお薬はそのあいだは飲まないようにしましょう」と言われていたのです。

しかし1998年に、英国のWahlらにより「血栓が形成された場合8割が死に至る」という非常に怖い論文が発表されました。そこから一気に抗血栓薬に関するスタンスが変わり、「治療のために休薬はしない」というのが一般的になって、今に至ります。

▼では歯科治療とどう関係するのでしょうか?

お薬の作用により血が止まりにくくなります。

抗血栓薬を服用しているかたは、出血が止まりにくくなります。これは抜歯やインプラントなどの外科治療を受けるときに影響します。抜歯の際は大きな血管を切ることはないものの、それでもじわじわと出血が続きます。多数の歯を抜かれる場合は、病院の歯科口腔外科での治療が望ましいこともあります。

▼安心して歯科治療を受けてもらうためにお願いがあります。

①自己判断で休薬しないで!

ほかのお薬にも言えることですが、血栓症のお薬を自己判断で休薬するのは絶対におやめください。薬を飲まなかったせいで、脳梗塞や心筋梗塞を起こしてしまっては元も子もありません。

②大きい病院に紹介させていただきます

血を止めるには物理的に止めるしかありません。抜歯の場合は、ふつうは歯を抜いた穴にガーゼを詰めて、15分くらい噛んでいただければ血が止まります。しかし抗血栓薬を飲んでいる患者さんなら、30分以上血が止まらないこともあります。患者さんに安心して治療していただくためにも、万が一の時に対応できる医院を紹介させていただいています。