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最近増えている「食べる」のお悩み

皆さんこんにちは!中里デンタルクリニックの松田です。今回はお子さんの食べ方や姿勢について詳しくお話したいと思います。 「うちの子は食べるのが遅くて⋯⋯」「あまり噛まずに丸飲みしているみたい」「食べるときクチャクチャ音がして、注意しても変わらないんです」 これらは子育て中の親御さんからよく聞くお悩みです。 実際、日本歯科医学会の調査によれば、就学前のお子さんをもつ保護者の約半数が、「食べること」について何らかのお困りごとを抱えているそうです。食べることはお子さんの成長に必要不可欠ですから、心配されるのも当然ですね。 いま大人である私たちからすると、食べることは、成長するにつれ自然にできるようになってきたイメージがあります。ですが、食べること=「食べる機能」は、じつは何もしないで自然に育っていくものではありません。段階を踏んで育っていくものなのです。ヒトの食べる機能は、基本的に食べることで発達していきます。赤ちゃんのころは液体しか摂取できないお口が、離乳を経てポタージュ状のものを口にできるようになり、もう少しかためのバナナや豆腐も舌や歯ぐきですりつぶせるようになり、がては歯が生えてハンバーグやお肉を食べられるようになり⋯⋯そういうふうにステップを踏んで成長していきます。 ですが、その食べることがうまくいかないお子さんが近年増えていて、不安に思われている親御さんも増えているのです。 これらのお悩みには食べる機能を育てるサポートが必要となります。 あまり噛まずに丸飲みしている意外な盲点、 「食べる姿勢」 食べるために何が必要かを考えたとき、専門家の視点でよくいわれるのは次の3つです。 ①形態:食べるために必要な歯が生えているか、歯は健康か、よく噛める噛み合わせになっているか。 ②機能:それらを協調運動させる筋肉や神経が発達しているか。 ③意欲:お子さんに「食べたい」という気持ちがあるか。 ただ、このほかにも大切なことがあります。それが「食べる姿勢」す。食べるときの姿勢は、食べやすさ・食べにくさに直結し、お口の動きや舌の動きのほか、誤嚥や窒息の予防などの「安全な飲み込み」にも関係します。しかも、ちょっと気をつけるだけで改善しやすい要因でもそこで今回のお話では、正しい「食べる姿勢」と、それがどんなよい影響をもたらすかをメインにお話ししたいと思います。 机が高すぎて腕が自由に動かせない。いすが高く、足の裏が床についていない。よくない姿勢で食べていませんか? 机といすの高さ、あごの角度、骨盤が立って背筋が伸びているか、足の裏が床についているかです。「当たり前のことですね」と思うかもしれませんが、よくない姿勢で 食べているお子さんは、意外と多いのです。子どもの食についてお悩みの親御さんに、おうちでの食事のようすを撮影してもらうと、机が高かったり猫背だったり、足が床につかずブラブラしているお子さんが多数見受けられます。 また、食べかたにも気をつけて次のことができているかも気をつけましょう。 前歯で噛み切り奥歯で咀嚼する ひと口量を守る お口を閉じて咀嚼する 水やお茶で流し込まない 成長に合わせた食具を使う ひざの角度は90*くらい 足の裏全体が床についている(足が届かない場合は台を置く) 正しい姿勢とはつまり、よく噛めて安全に飲み込める姿勢です。食べやすく飲み込みやすいのはもちろん、お口の筋肉を動かしやすい姿勢なので、お子さんの食べる機能の成長がおのずと促されます。お口の筋肉をしっかり動かして食べられるようになることで、顔面やあごの成長発達につながるほか、舌やほおを助かす力やくちびるを閉じ る力がついていきます。これは歯並びやお口ポカンの防止にも影響します。 ちなみに、正しい食べる姿勢は私たち大人にも大事です。これを機会に、みなさんもご自分の食べるときの姿勢を見直してみてはいかがでしょうか。