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歯茎の役割とは?

皆さんこんにちは、中里デンタルクリニック.歯科衛生士の田口です。 毎日暑い日が続きますね。こまめな水分補給をして熱中症予防をしましょう。 さて、今回は歯茎についてです。歯茎と聞くとどんなイメージが思い浮かぶでしょうか。 歯茎は、歯と同じくらい身近なものですが、よく考えたらあまり知らない気がします。どういう存在なんでしょうか。   まずは、歯茎の役割を3つご説明しましょう。それは、①歯を支える。②内部の組織を守る、③血管の通り道となることです。   歯茎のみで歯を支えているわけではありません。歯を支える一番大きな存在は、「顎の骨(歯槽骨)」です。歯茎の中には顎の骨があり、ここに歯の根が植わっています。 直接くっついているわけではなく、「歯根膜(しこんまく)」という組織が、歯の根の表面にある「セメント質」と顎の骨をつないでいます。歯根膜には非常に細かい繊維が走っていて、縫物のようにセメント質と顎の骨をつないでいます。 縫いとめられているおかげで、噛む力がクッションのように受け止められるのです。そして、顎の骨を覆っているのが歯茎です。歯根膜ほどの強さはないですが、歯茎も歯の根とくっついています。こうした歯を支える組織は、まとめて「歯周組織」とよばれます。   歯茎によって覆われていることは、実はすごく大事なことです。お口の中は、唯一に外界と接している部分ですから、外からくる細菌の脅威に絶えずされされています。だから、細菌が内部の組織、つまり顎の骨や体内にいかないようにバリアの役目をしているのが歯茎なんです。 歯茎は外側を上皮組織、内側を結合組織といいます。どちらも思いコラーゲン繊維から成り、外側と内側で角化(繊維化)の度合いが違います。歯と接している部分は「付着上皮」といい、これがバリアなんですね。 歯茎のことを考えるときに欠かせないものが血管の存在です。歯茎が赤く見えるのも、張りめぐらされた血管のせいです。血管が表皮に透けて赤く見えるのです。 スタート地点となるのは「歯槽骨動脈」です。首の動脈から顎の骨の中を通って延びている太い血管のことで、上歯槽動脈と下歯槽動脈があります。この血管から無数に枝分かれが繰り返され、歯茎へと延びていきます。 特に歯の根元まわり(歯頚部まわり)の歯茎には、網膜状に細かい血管が集まっています。 健康な歯茎の場合は、一定の直径をもつ血管が規則正しく並んでいます。また、歯茎の中だけでなく、歯根膜や歯槽骨の中にも血管は延びています。 血液が運ぶものは主に3つ ①酸素、②栄養、③免疫細胞です。血管を通して運ばれていく様子は、自動車交通網をイメージしてもらうと分かりやすいでしょう。 歯槽動脈を高速道路、そこから伸びる枝分かれした血管を一般道をしてみましょう。酸素、栄養、免疫細胞を載せた血液という運送トラックが、高速を降りて一般道へ。そして届け先である歯の根本まわりの歯茎へと、どんどん細くなる道路を通って進んでいくのです。 そして、二酸化炭素や老廃物などが静脈を通って回収されます。 歯茎だけでなく、身体中にこのような血管毛が張り巡らされています。人間の血管の長さを合計すると地球2周半(約10万キロメートル)に及ぶと言われています。 健康な歯茎の状態から、歯の根本まわりにプラーク(細菌の塊)や歯石が溜まると、その近くにある歯茎に炎症が起きます。これが歯周病の初期段階である「歯肉炎」です。 この段階なら、炎症の元であるプラークが除去されれば、歯茎は健康な状態に戻ります。 炎症が起きている場所は細菌と免疫が戦っている場所でもあります。ですから、血流を増やしても免疫細胞をどんどん運び込もうとするので、その結果、歯茎の血管が拡張されます。これが充血です。 交通網の例えでいうと、道路(血管)が一時的に拡張されてどんどんトラックが現場に向かっている感じです。免疫細胞を積んだトラックがいつもよりたくさん走ってきます。 炎症が起こる血管の透過性が亢進する(通常は血管壁を通り抜けない物質が通り抜けるようになる)ので、血液中の液状成分が血管の外にしみ出すようになります(滲出)。つまり炎症が起きている歯茎に体液が貯まるということで、これがブヨっと腫れる理由です。