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歯周病が大腸癌に関係してる?

こんにちは。中里デンタルクリニック.アシスタントの荒谷です。最近、一気に気温が上がって夏本番という感じですね。「暑い!」と言いながらご来院される患者様も増えてきましたが、より快適に過ごせるように、空調を整えていますので、ぜひお早めにいらっしゃって、涼んでいただきたいと思います。 さて、今回は歯周病と体の病気との関連についてお話ししたいと思います。最近、テレビやネットでの情報で、歯周病が進行すると、動脈硬化や糖尿病、認知症などを進行させてしまうとあります。そして更に、「大腸がん」との関与が疑われているとの事です。がんの中でも大腸がんは世界的に増加していて、日本の統計予測では罹患数は第一位となりました。大腸がんは昔から男性の死因の上位を占めていますが、近年は女性にも増えています。 大腸がんの多くは、大腸にできたポリープの一部ががん化することで起こります。リスクファクターとしては、赤身肉や加工肉、肥満、飲酒、遺伝子要因が知られています。しかし、近年はこれらに加えて、歯周病菌の一種が大腸がんの発症、増殖、悪性化に関わっている可能性があると注目されています。歯周病感といえば「Pg菌」と呼ばれるポルフィロモナス・ジンジバリスが有名ですが、歯周病菌はそれ以外にも複数あります。大腸がんとの関連が示唆されるのは、フソバクテリウム・ヌクレアタムという菌です。この菌は細長い桿菌で、嫌気性のグラム陰性菌です。お口の中だけでなく、腸内にも存在します。フソバクテリウム・ヌクレアタムがどのように大腸がんに関与しているかは、具体的にはまだ明らかになっていません。ただし、状況証拠と言えるものは確実に積み重なっています。例えば、大腸がんの組織を切除して調べると、フソバクテリウム・ヌクレアタムがたくさん見つかることが多数の研究で報告されています。また、このときに見つかったフソバクテリウム・ヌクレアタムは、多くの場合、お口の中にいるフソバクテリウム・ヌクレアタムと遺伝子的に同一であるあることもわかっています。 本来なら、腸内に少ししか存在しないはずのこの菌が、なぜ大腸がんの組織中にはたくさんいるのか、どのように大腸にやってきたのか…。歯周病の人のお口には、フソバクテリウム・ヌクレアタムがたくさんいます。言ってみれば歯茎で培養しているようなもので、それが唾液と共に飲み込まれたり、出血した歯茎の粘膜から血流を介して大腸に行く可能性は十分にあると言えるでしょう。 経路にはまだ不明な点がありますが、「歯周病にならないように予防する」「歯周病になったら速やかに治療してもらう」ことがやはり重要です。ただ、痛みや腫れなどのトラブルが出てきてから歯科医院にいらっしゃる方がまだまだ多いように思います。歯周病は、糖尿病などの生活習慣病と関わっていますので、そうした病気の予防のためにも、定期的な歯科受診をお勧めいたします。当院では、その方の歯周病の状態によって、その方に合ったメンテナンスの頻度や方法をお伝えしております。色々とお伝えしてきましたが、とにかく大事なのは「予防」です。ぜひ、定期的なメンテナンスで、お口と身体の健康を守りましょう!