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「唾液」について詳しくなろう!

皆さんこんにちは!中里デンタルクリニック.歯科衛生士の堀内です。7月に入り、暑さが本格的になってきましたね。水分・塩分補給を怠らず、熱中症にはくれぐれもご注意ください!   さて、今回の話題は「唾液」についてです。   私たちのお口を潤す唾液。起きているあいだは常に湧き出ており、成人の場合、その量はなんと1日に1〜1・5リットルといわれています。 分泌量にはもちろん個人差があり、持病や服薬の影響のほか、大人と子どもでも分泌量が異なります。渡部茂教授の研究によれば、5歳児の1日の唾液分泌量は500ミリリットルペットボトル1本分ほどだそうです。教授はご子息を含め30名の子どもに協力してもらい、睡眠時と覚醒時、そして飲食時の平均唾液分泌量を実際に計測しました(ちなみに、教授はこの研究によりイグ・ノーベル賞を受賞しています)。 5歳のお子さんの小さなからだから500ミリリットルとは、かなりの量ですよね。これだけの量の唾液は、お口のどこから出てくるのでしょうか。 お口のなかには「唾液腺」という器官が存在し、そこから唾液が分泌されます。唾液腺は、水を含ませたスポンジを入れた袋に、ストローを刺したような構造をしています。スポンジの水分(唾液)が、袋(腺)から押し出されてストロー(管)を通って出ていきます。 唾液腺というと、3つの大唾液腺がよく知られています。耳の前から頬に広がる①耳下腺、舌の裏側の根元深くにある②顎下腺、口腔底深くにある③舌下腺で、①がもっとも大きい唾液腺です。 耳下腺の管の出口は上の奥歯近くの頬粘膜に、顎下腺と舌下腺の管の出口は下の前歯の裏側の粘膜付近に開いていて、ホースから水が出るように唾液が分泌されます。いわゆる唾液腺マッサージで押すことができるのは、これらの大唾液腺です。 ですが、お口のなかには、大唾液腺よりはるかに小さな「小唾液腺」が無数に(一説には数千個)存在し、頬やくちびるの粘膜をはじめ口のなかの至るところに分布しています。大唾液腺と違い、小唾液腺からの唾液分泌量は少なく、全体の1割程度です。しかし、この小唾液線には見過ごせない大事な働きがあります。 唾液にはお口を潤すだけでなく、さまざまな効能があります。飲食により唾液に溶け出した歯のカルシウム成分を戻して歯を修復したり、お口の粘膜を保護・維持したり、抗菌作用を示したり。最近は感染症に対する免疫作用も注目されていて、一昨年には11月28日が「いい唾液の日」に制定されました。 そして食については、唾液は潤滑油としての働きや消化の促進にくわえ、「味物質の伝達」という役割をもちます。味覚が働くのは唾液のおかげで、食物の味物質が唾液に溶け込んで、舌の味蕾にある味細胞にたどりつかないことには、正常に味を感じられません。つまり唾液なしではおいしい食事が楽しめないのです。