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お口のなかの悪いやつら

こんにちは。少しずつ暖かくなってきましたね。   今回は「お口の中の悪いやつら」ついて少しお話しします。   私たちのお口の中に棲む細菌は1000種類以上…。キレイに歯みがきしても100億個が棲み、雑だとなんと1兆個も?! 切っても切れない細菌との縁…。上手に付き合う作戦が必要です!!   私たちを悩ませるむし歯。この起源をたどると、重要なことが見えてきます。例えば、古墳から発掘された縄文人や弥生人の歯を調べると、硬いものを食べた摩耗や、歯周病を患って歯を支える骨が壊れたあとはあっても、むし歯はありません。なぜなのでしょう? それは「砂糖」を食べていなかったからです。砂糖がむし歯の原因になることは、現在ではよく知られていますよね。 一方、黒砂糖が大好きだった将軍徳川家茂は、20歳で逝去し葬られましたがのちの発掘調査で、家茂にはむし歯が31本もあったことがわかったというのですから驚きです。他にもむし歯の原因としてよく知られているものに、お口の中に棲むミュータンス菌があります。この菌が砂糖を消費して乳酸を出し、歯を溶かすことでむし歯ができてしまうのです。そこでむし歯の予防のため、「乳幼児の頃にミュータンス菌を感染させないことが重要だ」とする研究者は少なくありませせん。 しかし感染予防よりもむしろ、棲みついてしまった菌に好き放題させない、つまり、「歯の表面にバイオフィルム=悪玉の細菌集団をつくらせないこと」の方が肝心だとお話している方もいます。   バイオフィルムにさせないことが肝心で、ミュータンス菌は多くの人のお口に棲むありふれた細菌です。スプーンを共有せず厳重に注意しても、感染はふとした拍子に起こります。親子に限らず、保育所の園児同士でも起こります。ミュータンス菌は、ブドウ糖や果糖からは、ネバネバのグリコカリックスという多糖体を作れません。そのため果物では悪玉化しません。ところが「砂糖」からはこの多糖体を作り出せるのです。多糖体はミュータンス菌が強固にくっつき合い、バイオフィルム悪玉集団になるのに不可欠な物質。しかも歯に頑固にへばりつくのでじつにやっかいです…。 さらにまずいのが、これが水や唾液に溶けない水不溶性グルカンであること。ミュータンス菌は大集団となり歯にネバネバと頑固にへばりつきます。 そのうえ、ミュータンス菌は多糖体を自分のからだにも蓄えます。お腹がすくとそれを食べて乳酸を出し続けるので、たまったものではありません!!わたしたちの就寝中に糖の供給が途絶えると、ミュータンス菌はその蓄えを使ってむし歯づくりに暗躍します。   バイオフィルムは毎日の歯みがきでは、落とすことが難しいので、歯科医院の定期的な検診を受け、超音波の機械を使ってしっかり落としてもらいましょう!!