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仮歯の大事な役割

 こんにちは。中里デンタルクリニック,アシスタントの荒谷です。数年に一度の大寒波で、皆様大変な毎日を過ごされているかと思います。当院のスタッフは毎朝、駐車場の雪かきに励んでおります。自分の家の雪かきをした後に出勤して、また医院の雪かきをするのは正直、決して楽なものではありませんが、来院される患者様が困らないよう、今後も頑張りたいと思います。  さて、今回は「仮歯」についてのお話です。歯の治療において、とても重要な役割を担っている仮歯ですが、単に、見た目のためだけに使われているわけではありません。いざ、出来上がった被せものを入れようと思ったら入らない!なんてことを防いだりして、治療のカギを握っているのです。良い被せものを作るため、仮歯の重要性をぜひ、知っていただきたいと思います。仮歯の大きな役割を3つ、ご紹介していきますね。 【1】削った歯を細菌感染や刺激から守る役割  虫歯を削って治療中の歯をそのままにしておくと、プラークがくっつき、細菌で汚染されてしまいます。それを防ぐため、仮歯はとても役に立ちます。根っこの治療中の歯などは一時的に噛まない方が良いこともあり、そういう例外もありますが、基本的には、削った歯は傷口があるのと同じですので、包帯代わりに仮歯を被せるのです。ただし、仮歯をずっと使い続けるのはNGです。仮歯の材料は長期の使用には堪えません。セメントも弱く、取れやすいです。また、プラスチックが汚れて細菌の巣になり、セメントの溶けた隙間からも細菌が入り込むので、トラブルの元です。仮歯のまま治療を中断するのは、くれぐれもおやめください。 【2】歯型をとった後、歯が動かないようにする役割  仮歯の中でも、被せものを作るために型とりをした後のそれは特に重要です。型を基にして作った被せものがスムーズに入るためには、完成までの間に歯が動いてしまわないように固定しておく必要があるからです。一週間も仮歯なしでいると土台の歯が動いて、出来上がった被せものを、相当調整しないと入らなくなってしまいます。被せものの装着感など、治療のクオリティを仮歯が決めているといっても過言ではありません。取れたり、割れたりしないよう、お食事の時などはお気をつけていただきたいと思います。 【3】「噛める状態」を維持する役割  歯の周りには、噛み心地を感じるセンサー「歯根膜」があります。このセンサーはとても敏感で、しばらく噛んでいなかったところに被せものが突然入って噛むと、その力が適正であっても、びっくりして過剰な力だと誤解し、「当たっている」「高い」という違和感が出てしまうのです。そこで、治療中もできるだけ噛むという刺激に慣れておいてもらうために、仮歯を入れて、歯根膜に噛む力の刺激を伝え、慣れさせておく必要があります。こうしたリハビリのような仕事も、仮歯の重要な役割です。  以上、仮歯というものは実は、質の良い治療をする上では欠かせない重要なアイテムなのです。歯の型とりをして、仮歯を作って入れるときの診療には、一時間はかかってしまいます。良い被せものを作るには、丁寧な型とりが必須ですし、仮歯の作製を丁寧にすることも、被せものの装着感に大きく影響する大事な仕事だからです。いずれ、被せものが入る治療中の方や、現在、仮歯が入っている方々に、仮歯の重要性を今一度、ご理解いただけたなら嬉しく思います。