
セルフケアの際、歯ブラシの使用のみだと十分にプラークを除去できていないことをご存知でしょうか?
過去の研究によると、歯ブラシだけでのプラーク除去率は約58%との結果がでています。
これはつまり、歯ブラシだけでは約40%のプラークが歯や歯ぐきに残ってしまうということです。
この残ったプラークは虫歯や歯周病の原因となるため、歯ブラシだけでのケアでは不十分とも言えます。
本日は日常の習慣を見直すために、改めてセルフケアの重要性を考えてみましょう。
◾️フロスと歯間ブラシの併用でプラーク除去率アップ

日常のセルフケアでは、歯ブラシに加えてデンタルフロスや歯間ブラシを使用することが推奨されています。
ライオン歯科衛生研究所の報告によると、デンタルフロスを併用することでプラーク除去率は86%まで向上、歯間ブラシを使用することで、さらに95%という高い除去率を達成することができると明らかになっています。
引用:ライオン歯科衛生研究所
◾️歯間ブラシの使い方と注意点

歯間ブラシは、歯と歯の間にたまったプラークや食べかすを取り除くために使用します。
歯間のサイズにあったものを選ぶことが重要で、歯ぐきや歯に無理な負担をかけないように注意しなくてはいけません。
そして、定期的に交換することも忘れないようにしましょう。
ブラシの毛が開いてきたら交換時期です。
使用する際は、鏡の前で自分の歯と歯の間に優しく挿入し、ゆっくりと前後に動かします。無理に押し込むと歯ぐきを傷つけることがあるため、スムーズに入らない場合はサイズを見直すか、歯科医師・歯科衛生士に相談しましょう。
◾️若年層には歯間ブラシの注意点

歯間ブラシはすべての年齢層に適しているわけではありません。若年層の場合、歯と歯の間が狭く、歯間ブラシが入りにくい場合があります。無理に使用すると歯ぐきを傷つける恐れもあるため、それぞれのお口の状態に合わせたセルフケアグッズの使用が重要です。
◾️Floss or Die(フロスオアダイ)
Floss or Dieという言葉を聞いたことがありますか?
直訳すると『フロスをするか、それとも死を選ぶか?』という少し驚かされるような表現です。
このフレーズは1998年にアメリカ歯周病学会によって提唱されたキャッチコピーで、近年歯周病と全身健康との関連性が注目される中、日本でも耳にすることが増えています。
アメリカではデンタルフロスの大切さをかなり前から謳われてきたのです。
◾️実際にデンタルフロスと歯間ブラシを使用している人

厚生労働省が平成28年に実施した歯科疾患実態調査によれば、日本でデンタルフロスや歯間ブラシを使用している人は全体の36.7%、つまり約3人に1人にとどまり、40%を下回る状況でした。
ところが令和4年に行われた歯科疾患実態調査では、デンタルフロスや歯間ブラシの使用率が50.9%にまで上昇しました。
しかし、これはまだ2人に1人の割合であり、日本ではデンタルフロスや歯間ブラシの使用率が依然として低い水準にあると考えられます。
引用:平成28年歯科疾患実態調査・令和4年歯科疾患実態調査
◾️デンタルフロスの使い方と注意点

デンタルフロスは、特に歯間の狭い部分に効果的で、歯磨きでは届かないプラークや食べかすを取り除くために必要です。
正しい使い方を覚えることで、歯ぐきを傷めることなく、効果的に歯間を清掃できます。
まず、約30cmの長さにフロスを切り取り、両手の中指に巻き付けて、親指と人差し指でフロスを動かします。歯と歯の間にフロスをそっと挿入し、歯の側面に沿って上下に動かしますが、力を入れすぎて歯ぐきを傷つけないように注意しましょう。
フロスを巻き直して、清潔な部分で次の歯間を清掃することも大切です。デンタルフロスの使用は、特にブリッジやインプラントがある方にもおすすめです。適切に使うことで、歯と歯ぐきの健康を維持し、口腔内のトラブルを未然に防ぐことができます。
◾️染め出しでセルフケアを確認

大人の方でも、時には染め出し液を使って自分のプラークがどれだけ残っているか確認してみると良いでしょう。染め出し液を使用すると、普段の歯磨きで見落としがちな部分が色で強調され、より丁寧に磨くことができます。
このセルフチェックを時々行うことで、セルフケアの質を向上させることができるでしょう。
◾️定期検診の重要性

歯ブラシだけでは全てのプラークを除去しきれないため、定期的に歯科検診を受けることが非常に重要です。
定期検診では虫歯や歯周病の早期発見が可能となり、これにより重篤な症状を未然に防ぐことができます。
さらに、患者様それぞれのお口の状態に応じた適切なケア方法や生活習慣のアドバイスを受けることで、長期的な口腔の健康を維持することができます。
当院では3ヶ月に一度の定期検診を推奨しております。
まとめ

歯ブラシだけでは、十分なプラーク除去ができないことを知っていただけたでしょうか。
デンタルフロスや歯間ブラシを併用することで、プラーク除去率は大幅に向上します。
ご自身の口腔状態に合ったセルフケアグッズを選び、正しいセルフケアを行うことが大切です。
定期的に歯科検診も受診していただき、毎日のセルフケアに役立ててください。
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八戸市
補綴専門医
セラミック
ジルコニアホワイトニング
インビザラインGO(マウスピース矯正)
中里デンタルクリニック.
歯科医師 歯学博士 中里好宏
住所:八戸市鷹匠小路12-1
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